VTuberの収益と聞くと、まず最初に「スーパーチャット」が浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
確かにライブ配信を中心に活動を行うVTuberは、実写系YouTuberや動画投稿者に比べるとスーパーチャットを投げてもらえることが多い傾向にあります。
ニュースなどで「とあるVTuberのスーパーチャット類型額が5億円を突破」と取り上げられているのを目にしたことがある人も多いでしょう。
しかし、VTuberの収益はスーパーチャットなどの投げ銭だけで成り立っている訳ではありません。
他にも「広告収入」「グッズの販売」など、VTuberが稼ぐ方法は多岐に渡ります。
そこで本記事では、VTuberの収益の仕組みや稼ぎ方、年収事情までを分かりやすく解説していきます。
「VTuberになりたいけど、あと一歩踏み出す勇気がなかった」という方はぜひこの記事を読んで、個人VTuberでも稼げる方法はあることを知ってみてみください。
VTuberのなり方については、以下の記事で解説しています。
VTuberが稼ぐ仕組み(収益を得る方法)
動画再生ページの広告収入
VTuberにとって大きな収入源の1つは「広告収入」です。
広告収入は動画やアーカイブ内に差し込まれる広告の本数により変動はあるものの、一般的には動画1再生に対して「0.05~0.7円」と言われています。
YouTubeで考えてみましょう。YouTubeでは広告収入が発生する登録者数の条件が「1,000人以上」とされています。
ここから単純に1回動画を上げると1,000人が観てくれると仮定すると以下のような式が成り立ちます。
0.7円(広告単価) × 255日(週5日の動画投稿を想定) × 1,000回(1動画の再生回数)= 178,500円
上記の式はあくまで一例ですが、広告収入が付く条件を達成したばかりの人でも年間で約178,500円の収入が発生する可能性があることがわかります。
もちろん活動を続けていれば動画の再生回数はどんどん増えていくので、ここから努力や継続年数次第ではどんどん収益が増えていきます。
広告収入はあくまで動画投稿の副産物だと考えると、ただ活動するだけでもこれだけの収益が発生するのは、かなりの助けになるのではないでしょうか。
スパチャ等の投げ銭による収益
VTuberの最も大きな収入源は「投げ銭」です。
配信サイトによってSuper Chat(スーパーチャット) や Super Stickers(スーパースティッカーズ) 、Super Thanks(スーパーサンクス)と呼び方は違いますが、これらは全て投げ銭のことを指します。
たとえばYouTubeであれば、VTuber側のスーパーチャットの取り分は70%だと言われています。
※手数料として30%はYouTubeに入ります。また、iPhoneアプリからの投げ銭はApple手数料も引かれます。
もしも1回のライブ配信で平均10,000円のスーパーチャットがもらえるとすると、年間のスパチャ収入は以下の通りです。
10,000円(スパチャ額) × 255日(週5日のライブ配信を想定) × 0.7(VTuberの取り分) = 1,785,000円
先ほどの広告収入日と比べると、年間で約10倍の収入が得られる想定になりました。
もちろんこれも1例のため、上記の金額が絶対に保障されるわけではありません。
しかし決して実現不可能な数値で計算しているわけではないので、頑張れば手が届く範囲にこれくらいの収入があると考えてよいかもしれません。
また、YouTubeでは2023年8月から収益化条件の緩和が行われ、それまではスーパーチャットやメンバーシップ開設の条件が「チャンネル登録者1,000人」「動画の総再生時間が4,000時間以上」だったところが2023年8月以降は「チャンネル登録者500人」「動画の総再生時間が3,000時間以上」になっています。
これによりVTuberにとって最も大きな収入源であるスーパーチャットが広告収入より低い条件で解放されるようになったので、より稼ぐことに現実感が出始めています。
メンバーシップによる収益
YouTubeでは、スーパーチャット解禁と同じ条件でメンバーシップも開設できます。
メンバーシップとは、簡単に言うと「ファンクラブ」です。
VTuberはメンバーシップに参加しているリスナーに対して以下のようなことが行えます。
- メンバー限定で表示できるコメント(メッセージやお知らせなど)機能
- メンバーだけが視聴できる動画やライブ配信の設定
- メンバーだけが使用できるカスタム絵文字の設定
このように、メンバーシップ機能を使用すればメンバーに入ってくれたリスナーに対してだけの配信や告知を行うなどの特別感を演出することができます。
メンバーシップの金額は一般的に490円とされています。例えばリスナーの5%がメンバーシップに入ってくれるとした場合、メンバーシップから得られる年間の収入は以下の通りです。
490円 × 12か月(月額のため) × 50人(メンバー数) × 0.7(VTuberの取り分) = 205,800円
メンバーシップの費用もVTuberにとっては大きな収入であることがわかると思います。
しかもメンバーシップは限定特典を充実させればさせるほどに加入してくれるため、頑張りがその分反映されやすいとも考えられます。
PR案件による収益
PR案件による収益もVTuberにとっての収入の1つです。
基本的にPR案件と言うと「商品紹介」が多いので、企業勢VTuberや超人気個人VTuberには縁がない話と思うかもしれません。
しかし、個人VTuberでもたとえば「特化系VTuber(特定の事柄に特化した活動を行うVTuber)」や、配信内で好きなものへの愛を熱く語るVTuberであればPR案件が回ってきやすいということがあります。
こちらは個人VTuberではなく企業勢VTuberの例なのですが、にじさんじに所属しているVTuberの周央サンゴさんは配信内で何度も「志摩スペイン村」への愛をとんでもない熱量で語っています。
そのことが志摩スペイン村の関係者の耳に入り、バーチャルアンバサダーに就任したという事例があります。
なので、折角VTuberになったのであれば本当に好きなものについてはどんどん配信内でその愛を語ることで、いつかPR案件に繋がるかもしれません。
イベント出演による収益
こちらも最初のうちは縁がないかもしれませんが、イベントへの出演費用もVTuberの収入源のひとつです。
実写で活動しているYouTuberと違いVTuberはリアルイベントへの参加ハードルがかなり高いため、特に活動を始めて間もないVTuberにとってはあまり縁がない話かもしれません。
ただ、最近はVTuberが参加できるイベントの数もかなり増えてきており、VRChatを活用したバーチャルイベントや特定のゲームの大会(FPSやカードゲームなど)にVTuberが呼ばれる機会も多くなってきています。
得意を活かした活動を行っていれば将来的には1回の出演で数万円の収入が発生するかもしれないので、普段から個性を前面に押し出した活動を心掛けましょう。
グッズ販売による収益
VTuberとしての収入源として、スーパーチャットと同じくらい重要なものがグッズ販売です。
VTuberにはアバターがあるためイラストを利用したグッズの作成が行いやすく、個人勢VTuberでもSUZURIなどのオリジナルグッズ作成サービスを使用することで簡単にTシャツやスマホケース、マグカップなどのグッズを作成して販売できます。
もちろんこういった物品の販売でも良いのですが、最初の内は物品としてのグッズはほとんど売れることがありません。
また売れたとしてもグッズ作成に掛かった費用を考えるとそこまで利益がありません。
そこでオススメなのが「ボイスグッズ販売」です。
ボイスグッズ販売
ボイスグッズとは「シチュエーションボイス(リスナーの彼女/彼氏設定や、クリスマス、バレンタインなどのシチュエーションに合わせたボイス)」や「季節ボイス(各季節にちなんだテーマでのボイス)」など、声と脚本さえあればすぐに録音でき、作成費用も掛からずに販売できるグッズのことです。
ボイスグッズはほぼ無料で作成できるのでVTuber側の利益も大きく、リスナーにとっても低価格で推しとの限定シチュエーションを妄想できるという特大のメリットが発生するので、お互いにメリットが大きいグッズなのです。
たとえばボイスグッズの価格を500円で、販売場所はBOOTH、登録者の10%が購入してくれると仮定した場合、収入は以下の通りです。
500円 × 12か月(毎月新規ボイス販売) × 100人(購入者数) × 0.95(VTuberの取り分) = 570,000円
※BOOTHのダウンロード商品の手数料は、正しくは「商品価格 × 5.6% + 22円」です
これまで想定してきた収入の中で、スーパーチャットに次ぐ収入になりました。
もちろん登録者数が増えたり、シチュエーションボイスの内容を工夫すればさらに購入者は増えていくので、収入増が見込めます。
VTuberとしてグッズを販売する場合は、ボイスグッズの販売を積極的に行うことをおすすめします。
VTuberの年収事情は?いくら稼いでる?
仮で想定した個人VTuberの年収合計
これまで仮で想定してきた収入を合計すると、収益化の条件を満たした個人勢VTuberの想定年収は以下の通りです。
178,500円(広告収入) + 1,785,000円(スーパーチャット) +205,800円(メンバーシップ) + 570,000円(ボイス販売) = 2,739,300円
※あくまで仮の想定金額です
YouTubeで広告収入を得られる条件を突破したばかりで、ある程度動画は視聴されグッズも購入されるほど人気になっている想定で考えるとおおよその年収想定は2,739,300円でした。
専業としてやっていくには心許ない数値かもしれません。
さらにこの数値は当然ながら最低限の年収を保証してくれるものでもないので、実際はさらに厳しい状況になることも想定されます。
しかし、VTuberの収益の仕組みや稼ぎ方を知るまでに想定していた金額よりははるかに高く映った方もいるのではないでしょうか。
登録者100万人超えVTuberが年収1億?!
最後に夢のある話をしておくと、現在登録者127万人を突破している大人気VTuberであるksonさんはなんと「年収1億円を超えている」そうです。
ksonさんとこれから活動を始めようとしているVTuberを比べるととんでもない開きがあるように見えるかもしれませんが、ksonさんもVTuberである以上、収益が発生する仕組みはここまでに解説してきたものと大してかわりません。
ただ動画の視聴者数がやメンバー数、グッズ購入者数が極端に多いだけです。
そう考えると、これだけVTuberが飽和した今でもまだVTuberを始めることは遅くないのではないかと思えますね!
VTuberとして稼ぐことにまつわるFAQ
まとめ
今回は、VTuberの収入の仕組みや稼ぎ方について解説しました。
VTuberとして稼ぎを考えることはもちろん大切ですが、今現在稼げているVTuberのほとんどはきっと、稼ぐ以上に配信活動が好きで続けてこれた人が多いのではないかと筆者は考えます。
この記事で紹介した数値はあくまで仮のもので、なおかつ順調に人気が出始めているVTuberを想定したものです。この数値を鵜呑みにして「これくらい稼げそうで青天井なんだったらVTuberになってみよう」と考えないように注意してください。
この記事が「VTuberになりたいけど収益化なんて夢のまた夢だと思っていた。けれど参考数値を見て少しは具体的な想像ができた」と思ってもらえるものになれば幸いです。